前回は、工事見積から予算を作成し、工事日報や仕入・外注・経費などの実績を登録して工事原価を管理する流れをご紹介しました。しかし、本当に重要なのはその先です。日々登録されるデータを使って、今どの現場が危険なのか、利益は予定どおり確保できそうなのか、部門ごとの利益率はどう推移しているのかを、経営者や管理者がすぐに把握できることです。
iTone × Kiwameでは、現場で入力された情報を自動的に集計し、会社全体から案件単位まで利益状況を確認できます。
工事台帳一覧で利益が危ない案件をすぐに発見
工事件数が増えてくると、すべての工事を毎日確認することは現実的ではありません。工事台帳一覧では、条件を指定して問題のある案件だけを抽出できます。
実績(見込)が実行予算より指定した%以上超えている案件を抽出。
「予定より材料費や外注費が増えている」工事だけを一覧表示できます。
抽出イメージ(実行予算より20%以上超過した案件)
▶ この案件を自動抽出
見込利益率が当初粗利率より指定した%以上低下した工事を抽出。
追加作業・材料高騰・手戻りなどで利益率が下がった案件を早期に把握できます。
抽出イメージ(当初粗利率より20%以上低下した案件)
▶ この案件を自動抽出
進捗率に対して出来高が伴っていない工事を抽出。
例)工事は50%進んでいるが、出来高は30%しか計上できていない状態。
原価ばかりが先行している案件を工事完了前に把握できます。
抽出イメージ(進捗率と出来高の乖離)
原価は50%分発生しているのに、出来高は30%しか計上できていない状態
▶ この案件を自動抽出
💡
ポイント:問題のある案件だけを絞り込めるため、工事件数が多くても管理者の確認負担を大幅に減らせます。
案件ごとの利益推移も一目で分かる
工事を開くと、現在の状況だけでなく、毎月の利益推移も確認できます。
| 出来高 |
進捗率 |
契約金額 |
実行予算 |
予定利益 |
予定利益率 |
実績金額 |
実績見込 |
見込利益 |
見込利益率 |
| 55.0% |
55.0% |
3,200,000 |
2,560,000 |
640,000 |
20.0% |
1,408,000 |
2,720,000 |
480,000 |
15.0% |
| 月 |
進捗率 |
契約金額 |
見込額 |
粗利益 |
粗利率 |
出来高 |
工事原価 |
利益率 |
| 2026年01月 |
0.0% |
3,200,000 |
2,560,000 |
640,000 |
20.0% |
0.0% |
0 |
0.0% |
| 2026年03月 |
20.0% |
3,200,000 |
2,560,000 |
640,000 |
20.0% |
20.0% |
512,000 |
20.0% |
| 2026年05月 |
40.0% |
3,200,000 |
2,720,000 |
480,000 |
15.0% |
40.0% |
1,088,000 |
15.0% |
| 2026年06月 |
55.0% |
3,200,000 |
2,720,000 |
480,000 |
15.0% |
55.0% |
1,496,000 |
15.0% |
1
当初の予算が甘かった可能性
3月時点の見込額は2,560,000円だったが、5月以降は2,720,000円に増加。原価が膨らんだことで見込利益が下方修正されている。
2
利益率がここから変化していない
3月は粗利率20.0%だったが、5月・6月は15.0%に低下。原価の増加により利益率が悪化している状態が確認できる。
3
追加工事や仕様変更があれば契約金額の変化に現れる
契約金額が月をまたいで増加していれば、追加工事が発生したサインです。その場合、利益率が上がったのか下がったのかを同時に確認することが重要です。
💡
ポイント:「先月から利益率がどう変わったのか」が一覧で確認できます。単なる数字ではなく、利益が改善しているのか悪化しているのかという変化まで把握できます。
月次の利益推移を会社全体で確認
経営者が知りたいのは、一つの工事だけではありません。会社全体として利益が確保できているかです。売上高・利益率管理表では、月ごとに契約金額・出来高・工事高・工事原価・粗利益・利益率を一覧表示します。さらに、営業経費やサービス費を加味した実利益まで確認できます。
| 月 |
工事高 |
工事原価 |
粗利益 |
利益率 |
実利益 |
実利益率 |
| 1月 |
54,297,319 |
36,020,427 |
18,276,892 |
33.7% |
15,634,055 |
28.8% |
| 2月 |
37,986,544 |
32,593,236 |
5,393,308 |
14.2% |
3,607,398 |
9.5% |
| 3月 |
78,691,799 |
47,818,217 |
30,873,582 |
39.2% |
27,205,688 |
34.6% |
| 11月 |
28,037,596 |
27,812,531 |
225,065 |
0.8% |
-1,015,737 |
-3.6% |
| 年計 |
642,763,361 |
408,820,467 |
233,942,894 |
3.3% |
204,507,792 |
2.9% |
💡
ポイント:毎月の利益率がどう変化しているかを把握できるため、利益改善の効果検証にも活用できます。
部門別の利益も比較できる
部署や工事種別ごとに利益を見ることも重要です。部門ごとに売上・原価・利益・利益率・実利益を比較でき、さらに部門を選択するとその部門に属する工事一覧まで掘り下げて確認できます。
| 部門名 |
工事高 |
工事原価 |
粗利益 |
利益率 |
実利益 |
実利益率 |
| 解体工事 |
46,271,394 |
29,055,888 |
17,215,506 |
37.2% |
14,775,026 |
31.9% |
| 処分場 |
1,473,393 |
1,997,640 |
-524,247 |
-35.6% |
-524,247 |
-35.6% |
| 下請工事 |
6,552,532 |
4,966,899 |
1,585,633 |
24.2% |
1,383,276 |
21.1% |
| 全社計 |
54,297,319 |
36,020,427 |
18,276,892 |
33.7% |
15,634,055 |
28.8% |
💡
ポイント:「利益を出している部門」「改善が必要な部門」が数字で見えるため、より具体的な経営判断につながります。
部門を選択するとその部門に属する案件一覧まで掘り下げられます。完工工事と着工中工事に分けて、案件ごとの契約金額・見込額・粗利益・利益率・実利益を月単位で確認できます。
部門別 案件ごとの利益一覧(例:解体工事部門 2025年01月)
| 工事名 |
契約金額 |
見込額 |
粗利益 |
利益率 |
実利益 |
| 完工工事計 |
| 樋口建設マンション205号室廃材搬出 |
50,000 |
16,000 |
34,000 |
68.0% |
33,000 |
| 工藤ガス資材倉庫植栽撤去工事 |
150,000 |
8,750 |
141,250 |
94.2% |
138,250 |
| 久保銀行内部残置物処理 |
420,000 |
449,000 |
-29,000 |
-6.9% |
-37,400 |
| 完工工事計 |
8,108,820 |
2,725,098 |
5,383,722 |
66.4% |
4,929,493 |
| 着工中工事計 |
| 沼田運輸計画 解体工事(予算) |
331,500,000 |
161,393,893 |
170,106,107 |
51.3% |
153,531,107 |
| 藤原農林設備事業 |
11,500,000 |
17,182,000 |
-5,682,000 |
-49.4% |
-6,357,000 |
| 武藤情報解体工事 |
17,500,000 |
14,968,770 |
2,531,230 |
14.5% |
1,556,230 |
💡
ポイント:赤字の案件(藤原農林設備事業 -49.4%)が一目で分かります。着工中の段階で把握できるため、工事完了前に対策を検討できます。
数字だけでは分かりにくい内容も、グラフ表示することで直感的に把握できます。案件ごとに材料費・労務費・外注費・経費それぞれについて、予算と実績を並べて表示します。「どの費目が予算を超えているのか」が一目で分かるため、原因の特定と現場への説明がしやすくなります。
以下は工事A(○○解体工事)の費目別グラフのイメージです。外注費のみが予算を超過しており、それが原価全体を押し上げていることが視覚的に確認できます。
◆ 工事A ○○解体工事 費目別 予算 vs 実績
契約金額 3,200,000円 実行予算 2,720,000円 進捗 55%
予算
実績(予算内)
実績(超過)
材料費予算 600,000円 / 実績 560,000円
労務費予算 480,000円 / 実績 470,000円
外注費 ⚠ 超過予算 1,440,000円 / 実績 1,580,000円 +140,000円
経費予算 200,000円 / 実績 185,000円
合計原価予算 2,720,000円 / 実績 2,795,000円 +75,000円 超過
▶ 外注費の超過が原価全体を押し上げています。外注先への追加発注の内容を確認してください。
💡
ポイント:現場担当者にも説明しやすく、改善ポイントの共有にも役立ちます。
見える化が利益改善につながる
工事原価管理は、入力することが目的ではありません。本当に重要なのは「問題を早く見つけ、早く対策できること」です。
外注費が膨らんでいる
→ 気づかず工事を続ける
利益率が下がっている
→ 工事が終わるまで分からない
赤字案件が発生している
→ 完工後に初めて判明
→
外注費が予算超過を検知
→ 工事中に発注内容を見直せる
利益率の悪化をリアルタイム把握
→ 追加工事で利益を回収できる
赤字兆候案件を早期に発見
→ 完工前に対策を検討できる
結果:利益を見ながら工事を進める
問題の早期発見→早期対策→利益改善
iTone × Kiwame 一気通貫の管理フロー
工事見積
→
予算作成
→
発注・仕入
→
工事日報
→
実績登録
→
原価管理
→
利益分析
→
部門分析
→
月次分析
💡
ポイント:現場の情報を経営判断につなげることで、「どんぶり勘定」ではなく、利益を見ながら工事を進める仕組みを実現します。
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